Coffee Break > 国際会議への参加 [科学技術論文の書き方]

科学技術論文の書き方
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国際会議への参加

現地通貨の用意

国際会議,それは君たちにとって初めての海外だろう. えっ,違うって? 失礼致しました. でも,こういう時くらい,新聞の為替欄をよく調査しよう.

我々日本人が海外でお金・代金を支払う手段は, 現金,旅行者小切手,キャッシュカード,クレジットカード, に限定される. 以下ではこれらについて考えよう.

通貨

通貨というものは経済活動の要である, 経済学部じゃないからって,経済に無頓着はよくない. それだから理科系人間は...なんて後ろ指さされるのである. まず知るべきことは,基軸通貨と三文字記号.単に$とかではだめ. 以下,頭の三文字が国際的に正式な三文字通貨記号 (ISO 4217) なので覚えること.
  • USD (US doller, US$, 米ドル): 通貨記号 $,補助単位 セント cent, ¢.もちろんアメリカ合衆国で流通.米国本国外でも,ハワイ (米国正州),グアム (米国準州),サイパン (北マリアナ連邦) でも正式通貨である.超インフレ国でも事実上のメイン通貨として流通.
    • 紙幣: $1, $2, $5, $10, $20, $50, $100


    • 硬貨: 1¢ (Penny), 5¢ (Nickel), 10¢ (Dime), 25¢ (Quarter)
  • EUR (euro,ユーロ): 通貨記号 €,補助単位 ユーロセント/セント ¢.欧州圏,特に欧州連合主要国で使用.
    発行: ECB (European Central Bank),フランクフルト.
    使用国: オーストリア,ベルギー,キプロス,フィンランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,アイルランド,イタリア,ルクセンブルク,マルタ,オランダ,ポルトガル,スロバキア,スロベニア,スペイン,バチカン 例外注意: 欧州連合でも、イギリス,スウェーデン,デンマークは独自通貨.欧州連合加盟歴が浅い旧東欧ポーランド、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア,そして中立国であるスイスは独自通貨であるので注意.
    • 紙幣: €5, €10, €20, €50, €100, €200, €500

    • 硬貨: 1¢, 2¢, 5¢, 10¢, 20¢, 50¢, €1, €2
  • JPY (Yen,円,日本円): 通貨記号 ¥/円,補助単位 銭.日本国で流通.事実上,グアム,サイパン,釜山あたりでも副通貨として流通.

通貨の調達手段

我々庶民が海外で使用する現地通貨をどうやって用意するかというと,
  • 日本の銀行・郵便局等で現地通貨現金に両替
  • 現地の銀行で日本円等から現地通貨現金に両替
  • 現地の両替商で日本円等から現地通貨現金に両替
  • 日本の銀行・郵便局等で旅行者小切手を購入,現地で両替または直接使用
  • クレジットカードを使用
  • 国際キャッシュカードで現地 ATM で引き出し
  • クレジットカードの C 枠を利用して現地 ATM でキャッシング (借金ですよ)
くらいしか方法がないなろう. ところが,どれがベストで,どれかひとつあれば良いということはない. TPO で使い分けたいところなのである. どのように使い分けるか,という問題はここで確定的に書ければ理想であるが, 経験的なことが大きく左右する問題である. 単純な為替利率的なことであれば算数の計算 (ページ末) で予想できるが, それだけではないのが海外事情である.

で,私の場合は...クレジットカード最優先,すでに持っている USD・EUR 現金,国際キャッシュカード,予備の JPY 現金,の順だろうか. もちろんクレジットの C 枠利用も最終保険としては考えているが実践したことは幸いにも一度も無い. すでに持っている USD・EUR 現金は過去にどこかで為替相場を考慮して最適の方法で両替したもの,である.

以下では上記各方法の特質を解説するので, 実際の TPO 実践は各自でご決断されたい.

現金 (cash)

日本の銀行等で用意する現金の現地通貨は必要最低限にしよう. 近くの銀行でなくても余裕を持って空港に着いていればその空港の銀行でも問題ない. 新聞の為替欄をみて両替するタイミングをはかる, なんていう行為は我々のような外為ドシロウトはやめた方がよい. ほとんどの現地の到着空港にも銀行カウンターはあるが, あまりお勧めできない.

殆どの場合は日本から相手国通貨の現金で用意するのは現地空港から銀行があるダウンタウンに行くための, バス代,せいぜい US$50~100 相当程度で充分. もしそれでバス代が足りなければその足りない分のみトラベラーズチェックを現地空港で換金する.

両替する場合には,紙幣の種類に注意しよう. USD であれば,$10 紙幣以下 ($10, $5, $1) の小額紙幣を中心にする. $100 紙幣, $50 紙幣は全く不要で,持っていても小規模ショップでは受け取り拒否されるので普通は使うのに困る. $100紙幣は高精度なニセ札が世界的に多いので米国人は神経を尖らせている. 極端な話,全て $1 紙幣でもよいくらいだ. EUR でも €20 紙幣以下にする. これらは高額な買い物 (というか,クレジットカード不可の場合以外の全て) 等はクレジットカード利用を前提とする方針である.

小銭
旅行中は小銭の管理をしっかりとしよう.
  • 帰国時にコインが増えないようにしよう.特にペニー (1¢) やニッケル (5¢) など, かさばって仕方ない.
  • アメリカではクオーター (25¢) は使いでがある. 50¢ や $1 コインは存在はするが流通していないので, クオーターは日本でいうと100円玉の感覚で自動販売機で使用するのだ. 飲料の自動販売機のほとんどは一応 $1 紙幣に対応しているが, $1紙幣の殆どはクシャクシャなこととセンサーが敏感すぎてはじかれることが多い. また,コインランドリーなどではクオーターでないと使えないことが多い.
  • 帰国後は紙幣は円に戻せても,コインは両替することが事実上不可能である.

旅行者小切手

いくらでも解説サイトがあるので最低限にしておくが, 旅行者小切手 (traveler's cheque: TC) は TC 業者が外貨として通貨現金を日本で用意する必要がないので「業者にとって」コスト安である. このコスト安がきちんと我々ユーザに還元されれば TC は安い外貨調達手段となるのだが, 実際はそうではないのが商習慣の常,である. 日本で TC を安く調達できても現地での使用時・両替時にマージン・手数料が要求されるのだ. そのバランス感覚を持って使用すれば TC は盗難・紛失等に強く, 良い外貨調達方法なんだが実際にはなかなか...

TC は銀行・郵便局,あるいはクレジット会社等で買う. 円建て,ドル建て,ユーロ建てのいずれでも殆ど問題ないが, 迷ったら米ドルを買っておく. 行く国の通貨とは無関係 TC 通貨を選択しても現実には為替差損を除いて問題とはならない.

意外に知られていないが旅行者小切手にもブランドがある. 有名処は Amex (米系), Citibank (西海岸系), Thomas Cook (欧州系) であり, それぞれの支店では手数料 (通常1-数%) 無しで換金できるのがミソである. また,マイナーなブランドは使用を断られることが有るので注意しよう. TC を買いに行く前に,銀行に電話でどこのブランドの TC を扱っているのかを確認した方が良い. 私は少なくとも国内銀行等発行のTCは避けている.

American Express ブランドの AUD50 (オーストラリアドル) の TC
TC の使用方法
  1. (TC 購入時) 日本の銀行・郵便局等で...
  2. ホルダー署名: 銀行等で TC を購入したら直ちに,上の画像の赤下線部分 (when countersigned below with this signature) にサインする (holder's signature).
  3. 署名には注意: このときのサインはパスポートのサインと同じにすること.安全だから,と,パスポートに漢字でサインしている人,要注意.本当は漢字サインよりローマ字サインが良い.だって悪いことするのは漢字圏母語の人が...以下省略.それより下手なローマ字サインの方が良い.
  4.  :
  5. (使用時) 海外の銀行・両替商・お店で...
  6. 手数料を確認.上記手数料 0 は特に欧州では滅多に無いと思え.
  7. 直前確認: 以下のことをする前に,相手の人にホルダー署名のみした TC を見せて,了解を得る.
  8. 認証署名: 使用時に支払う相手の目の前で上の画像の緑下線部分 (countersign here in presence of person cashing) に同じサイン (counter signature) をする.この counter は机のカウンターではなく,カウンターパンチのカウンターですね.
  9. TC を使用するときは,99.9%,パスポートの提示を求められる.免許証とか他の ID は不可.ここでサインが違うとモメル...
  10. これで無事換金あるいは買い物終了.

現地での両替

現地でのJPY現金・旅行者小切手からの両替では注意しておきたいことがある. 日本の銀行・郵便局での両替では外国為替に応じた両替が行われる. 例えば JPY/EUR 売りレートが 150円ならば150円払えば1ユーロもらえるだろう. しかし,海外,特にヨーロッパ現地での両替ではレート外の両替手数料 (commission) が付くことが殆どであるので注意したい. 街の至る所にある両替商では電光掲示板等で各通貨の為替レートが表示されているだろう. そのとき,単にそのレートのみで選んではいけない. JPY/EUR が 150 と表示されていても,150円で1ユーロもらえないのだ. というか,もはやレート表は当てにならないと言っても過言ではない. 従って,両替する前にちゃんとこの手数料を確認する必要がある.

また,レート表が普段、日本でみるレートと逆レートになっていることが殆どである. 日本なら

  •  EUR sell: 150  buy: 140
のような形式だが,現地では,
  • (1) JPY sell: 150  buy: 140
  • (2) JPY sell: 0.00667  buy: 0.00714
  • (3) JPY sell: 0.667  buy: 7.14
という形式をよく目にする. (1) は見慣れた形式, (2) は1円当たりの現地通貨額, (3) は100円当りの現地通貨額である. (2), (3) は我々からすると見慣れないレート表示形式なので慌てずに冷静に確認して欲しい.

両替商を選ぶ基準として,この売り買いレートの差 (スプレッド) を見るのも一案である. 「JPY sell: 150, buy: 140」ということは,1通貨単位あたりのスプレッドが10円であるので, 基準レートがその真ん中の145円である、と類推できる. スプレッドが小さいほど,マージンが安い両替商だということになる. もちろん,為替だけでなくcommissionと併せて考える必要があることは言うまでもない.

国際キャッシュカード

まずクレジットカードとキャッシュカードの違いに注意されたい. 国際 ATM 網である,[Plus] (VISA International) とか [STAR] (米国内 interbank),[Cirrus] (MasterCard Worldwide) というマークが付いている銀行キャッシュカードすなわち「国際キャッシュカード」,あるいはデビットカードを持っていれば, 現地の ATM で手数料込みで現地通貨が引き出せる. これはキャッシング/借金ではなく,自分の銀行口座からの引出しである. 日本国内の銀行が発行した殆どの普通のキャッシュカードはダメであり,「国際キャッシュカード」を発行してもらう必要がある. もっとも,クレジットではないので金利は掛からないが日本の異銀行での引き出しと同様,いやそれ以上の手数料が掛かるので注意. あくまでも緊急時のためである.

筆者はこのために Citibank の口座を持っている. 邦銀の国際キャッシュカードでも良いのだが,Citibank だとドル建て預金などのオプションがあって便利である.

Citibankの国際キャッシュカード.Plus と STAR が使用可能.
 

Plus, STAR, Cirrus マーク
   

クレジットカード

実は為替的・手数料的・面倒臭さ的に一番良いのはおそらく「クレジットカード」で支払うことである. 国際会議の参加費,現地でのホテル代,食事代,お土産など,現地で使用する金額の90%はクレジットカードで事足りる,と言っても過言ではないだろう. バス車内やタクシーでは使用できないが,バスチケット窓口,あるいは「まっだぁなるず」でも躊躇することなく使用してよい. [Plus] 等のマークがあるクレジットカードでも ATM で現地通貨が払い出せるが, これは「引き出し」ではなく「キャッシング(借金)」であるので注意!

クレジットカードの詳細はここでまとめる.

で,どれがお得?

前項で,実は為替的・手数料的・面倒臭さ的に一番良いのはおそらく「クレジットカード」で支払うことであると書いた. 「おそらく」なんて言っていると科学技術論文の書き方のサイトにしては「科学的ではない」とお叱りを受けるといけないのでサポートデスクに電話突撃してみた. 一度ちゃんと調べたかったことだし.

某イシュア S の規約では「国際ブランド会社の規定レート+1.63%」, また別の某国際ブランド J では「取引銀行特約レート + 1.6%」であった. この規定レートとか特約レートというのがくせ者であるが,結果的には高くても TTS 程度のようであり, また上乗せされる 1.63% とか 1.6% の手数料は通貨によらず固定とのことである. 計算式はまだ雲の中であり,買い物をした日と決済日のタイムラグがあるが, 1ユーロの買い物をすると,次の通りである.
仮定: 某日の TTM (TTS 141.75/TTB 133.75 の中間) レート: 137.75円 (EUR/JPY)
方法 円相当 参考
クレジットカードで現地 ATM でキャッシング144.18~∞円 これは他の方法がない場合の最終手段
キャッシュカードで現地 ATM で引き出し146.00~円 TTS×1.03+α,日本でも1回α=105~210円,海外はそれ以上
JPY 現金を日本の銀行で EUR 現金に両替141.75円 某日・某都市銀行
JPY 現金を欧州現地の手数料 5% の両替商でEUR現金に両替144.63円これでも良心的だと思う
TC を購入,現地で手数料 0 でEUR現金に両替139.25円某日・某都市銀行
TC を購入,現地で手数料 1% でEUR現金に両替140.64円某日・某都市銀行,欧州で稀
TC を購入,現地で手数料 2% でEUR現金に両替142.04円某日・某都市銀行,欧州で普通
クレジットで支払い138.54円三井住友 MasterCard
クレジットで支払い141.24円三井住友 VISA
クレジットで支払い139.44円JCB

※ TTS: Telegraphic Transfer Selling rate: 銀行間電信売りレート
※ TTB: Telegraphic Transfer Buying rate: 銀行間電信買いレート
※ TTM: Telegraphic Transfer Middle rate: 銀行間電信売買中間レート, TTM=(TTS+TTB)/2

クレジット国際ブランド3社はたまたま上記順序となったが, この順序にはどうやら変化要素 (相手通貨,決済日,タイムラグなど) があるようである. また,EURは国際基軸通貨なのでこの程度で済んだが, USD, EUR, GBP 以外では現金,TC,クレジットでかなり差が開く.

実用英会話

両替商で...
  • “I'd like to buy US dollers / Euros.”
  • “Do you take this TC / Traveler's Cheque?”
  • “How much is the commission?”
レジのあるお店・スーパーマーケットで...
  • レジに行ったら直ちに “Hi!” / “Hi, how are you?”,会計が済んだら “Thank you!” と必ず言うこと! これができないから「これだから Jap は...」と思われていることだろう...
  • 店の人: “Do you need a plastic bag?”
    (コンビニ袋いる?)
    プラモデルの鞄ではない.最初,何言ってるのか判らなかった...:-)
  • 店の人: “Do you have a きゅーぽん?”
    (割引券持ってる?)
    クーではなく,キューなんです,coupon って.これも最初は "ナンだ? きゅーぽんって???" と思っていたら辞書にも載ってた.二番目だけど 【 kù¦pan, kjù-¦pan, kù¦p*n 】* はcのひっくり返った記号.HTMLには発音記号ないのね...

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