文字・フォントの問題 > 相応しいフォント [科学技術論文の書き方]

科学技術論文の書き方
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文字・フォントの問題




相応しいフォント

基本のフォント・書体

学会あるいは論文誌でスタイルが定められている場合はそれに従うこと. 論文用スタイルファイルが供給されていれば殆ど気にする必要はない. 以下は,それ以外で自分でタイプセットしてカメラレディ原稿を作成するときの基本ルールである.

文字サイズ

基準の文字サイズは英文,和文とも 10.5 ポイント (整数値のみ使用できる場合は 11) とする. 10.5 なんて小さい,12くらいが良いのに,と思うだろうが,ぐっと堪えてそのようにして欲しい. 脚注,キャプションでは 9 ポイントとする. また図の中で使用する文字は本文に合わせるのではなくキャプションに合わせること.

文字フォント

本サイトのような Web ページ,OHP,パワポ等ではゴシックが良いが, 紙媒体 (PDFを含む) の論文ではゴシックは濃すぎるので日本語用としては明朝体が良い. Macユーザは「MS明朝」「MSゴシック」の使用はやめよう! せっかく「ヒラギノ」という上品なフォントがあるのだから!! 「MSなんとか」フォントは,ジオメトリ,文字スペーシングともに最悪.

和文文字

和文書体:
  • Wondows Vista: メイリオ
  • Windows xp: メイリオ (xp では非標準だが無料でダウンロード可)
  • MacOS X: ヒラギノ明朝
とすること. OS に拘らず TeX, LaTeX は殆どの場合考慮不要, さらに学会からスタイルファイルが供給されている場合はそれに従うこと.

欧文文字

英文,英単語,欧文文字としては times 系フォント (Century Schoolbook, Computer Modern, Times など) で書くこと. Century Schoolbook が Roman, Italic, Bold, Bold-Italic ファミリが完備されていて美しいので望ましい. TeX ではこれも美しい Computer Modern が標準で使用される.

* 別項でも書いたように英文,英単語,欧文文字にかならず半角文字として日本語用フォントではなく Times 等を使用すること.

書体とフェース指定

日本語書体,特に明朝体のまま英字をイタリックにすると極めて見苦しい (これはItalic 体ではなく,Slant体). コンピュータ出力ということを強調したいとき,文字を文字列としてではなく記号列として使用したいとき,あるいは,塩基配列等のコード表現などは,タイプライタフェース (monospace) である Courier が良いかも知れない.

節・項にするには大袈裟な項目の強調にはゴシックにすると効果がある.

英文での強調は Italic による方法が英文書法として正式である.

  •    In this paper the SOMEWHAT method which enables a semiconductor plate ... is proposed.
  • ×   In this paper the SOMEWHAT method which enables a semiconductor plate ... is proposed.
  • ◯  In this paper the SOMEWHAT method which enables a semiconductor plate ... is proposed.

数式のフォント

ここの数式のフォントフェース表示は M$Win+M$IEの環境では相当くずれます)

ここで書くことは必ず守ること!! もっとも,LaTeX で適切に書いていれば気にする必要がないことであるが(本文中でも $$ で挟むのを忘れるな(LaTeX)), 他のタイプセッティングシステム(PageMakerなど)を使用するときには最大限に気を使うこと. 数式の記述にあたっては,フォントは明朝体ではなく, times系を使用すること. もちろん,全角は使用してはいけない(不本意ながら極力,としておく). 本稿としては Times New Roman,Computer Modern (CM),CM-super を推奨する.

#数式の認識・理解の研究をしていると,こういうことに敏感になる.

ローマン体     : Roman face
イタリック体    : Italic face
ボールド体     : Bold face
ボールドイタリック体: Bold Italic face
スラント体     : Slant face
  • スラント Slant 体は使用不可.
  • 数字,スカラー定数はローマン Roman
  • スカラー変数はイタリック Italic
    • 厳密にいえば円周率はイタリックの π ではなく,ローマンの π にしなくてはいけない (ISO 31-11) が,国際的慣習でイタリックが許容される. ネピア数 e,虚数単位 i も同様. それら数学物理定数でのイタリックの使用を慣習として許容するのであれば,変数としてそれらの文字を使用することは禁止されよう.
    • x-y グラフを書くとき,x, y はイタリック,原点 O はローマンとする.原点は固定であるため.
  • 数学定数はイタリックで物理定数はローマンという流儀もあるがこれはこれで納得できる
      (円周率 π・ネピア数 e・虚数単位 i 等は数学定数で,光速 c・プランク定数 ħ 等は物理定数)
  • ベクトル変数,行列変数はボールドイタリック Bold-Italic
  • 定ベクトル (e, i, j, kなど),定行列 (O, E, I) はボールド Bold
  • 定義済み関数名 (sin, log など) はローマン Roman
  • 単位はローマン体
  • 微分因子の ddy/dx のようにローマンであるべき (後掲[1]), と杉原は書いているが,それは d を微分演算子と解釈しているためであろう. 余談ながら,杉原先生の信学論掲載論文を見たらちゃんと? dx とされていた. しかし,本文筆者は,dx は,それでひとつのシンボル (dx は分離できない) という解釈により, dx とすべきではないかと思う. また,AMS TeXでは dy/dx とタイプセッティングしている.

例) (所詮 html であるので正確に表示されないかも知れない.)

  • × 三次元の基底単位ベクトル ij の外積は i × j = k である.
     →○ 三次元の基底単位ベクトル ij の外積は i × j = k である.
  • △ 縦ベクトル x を変換行列 H で変換すると,ベクトル x' = xH を得る.
     → ○ 縦ベクトル x を変換行列 H で変換すると,ベクトル x' = xH を得る.
  • × x の正弦は sin x で与えられる.
    × x の正弦は sin x で与えられる.
    → ○ x の正弦は sin x で与えられる.
  • ◯ 世界で最も美しい数式は ei π = − 1 である.
    → ◎ 世界で最も美しい数式は ei π = − 1 である.
  • × 質量 m の物質はエネルギー E = mc2 を持つ.
    → ◯ 質量 m の物質はエネルギー E = mc2 を持つ.

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