科学技術論文の書き方 表 紙 目 次 |
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これが「ラップトップ」だそうだ. ラップトップというからには,膝の上に置いてラクラク仕事ができるんだろうな. 4kgってどんだけ... 1985年発表 Toshiba T1100 サイズ 310(W)×300(D)×67(H),重量約 4kg. 公式キャッチコピー「『だれでも、いつでも、どこでも使える』ノートPCの開発へ,1985年には世界初のラップトップPC『T1100』を発表。」 |
これが「ノート」だそうだ. ノートというからには,脇とかじゃなくて片手でラクラク持てるんだろうな. 厚さ4.4cmの2.7kgって辞書並だぞ.広辞苑でさえ 2.8kg なのに. 本来の A4 - ISO 216 用紙サイズは 210mm×297mmなので,「A4サイズ」とは言わず「A4ファイルサイズ」と書いているところなど消費者の勘違いを誘引している. 1989年発表 Toshiba DynaBook J-3100SS サイズ 310(W)×254(D) ×44(H),2.7kg. 公式キャッチコピー「みんなこれを目指してきた!世界初のノートPC」 |
パームトップPCというのがある. PDA という新種と実態が拮抗してきたため,パームトップという言葉は死語となりつつある. |
ウェアラブルコンピュータというのが研究段階では存在する. あれはまるでロボット/サイボーグだ. シャツのボタンにまでIPアドレスが付与できるご時世ではあるが,現実と夢の乖離はますます激しくなる. ジュール・ベルヌが1865年に “De la Terre à la Lune: Trajet direct en 97 heures 20 minutes (From the Earth to the Moon; 月世界旅行)” で描いた月ロケットはほぼ1世紀の時を隔てて1969年にアポロ11号によって現実のものとなった. 1865年当時はなにをバカなことを書いているんだ,と言われたことだろう. (しかし本書の挿絵のなんとリアルなことか...100年後の月ロケットの姿そのものだ...) 理工学が目指すゴールのひとつである鉄腕アトムや鉄人28号でも同様である. 本文筆者も鉄腕アトムの脳・神経系を司る情報工学を専攻し,視覚を司る Pattern Recognition, Computer Vision を専門分野とした. 夢を追ってはいけないと言っているのではない. このような技術革新は夢ではあるし,本文筆者もそのような夢を追うために技術者/研究者となった. し・か・し... 夢を語ることはベルヌや手塚治虫先生,横山光輝先生などその道のプロに任せておけば良い. 夢を追うことは良いが,論文で夢を語ってはいけない. 技術者・研究者はその夢を現実のものにすることが仕事である. 論文は夢を現実にする設計図であり, 正確に書かれた学術論文は科学の永遠の財産である. |
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