科学技術論文の書き方 表 紙 目 次 |
図・表・アルゴリズムなど
「百聞は一見に如かず」という諺は,学術論文にも通じるものがある. わたし自身は工学系であるが,理学部の純粋数学系の論文を見たとき, 「なんだ、これは...」と思った. 本当の理論屋さんは図を書かないのだ. 幾何学の分野でも,数式で全てを表現しようとしている. 彼らは数式(定式化)によって,定義と公理からのスキの無い演繹体制で理論体系を築き上げることが目的なのであるから,真の意味での正確さ・厳格さには図は邪魔なのかもしれないし,当然と言わざるを得ない(間違っていたらご指摘下さい). しかし,特に工学系、応用系の学術はそれだけでは不足であり、 読みやすく、解りやすい、という問題は極めて重要なものだと筆者は思う. 筆者も「定義と公理からのスキの無い演繹体制で理論体系を築き上げる」論文を一度書いたことがある.図は使ったが...(反省...!?). 事実,「1辺が長さ1cm の正方形のひとつの辺上に1辺の長さが0.5cmの正三角形の中心があり、正三角形のひとつの辺が正方形のその辺のとなりの辺と平行な図形」なんて書くより, 図をひとつ書いた方が相手に伝わるのである. ただし、元の文章が不要なのではない. 厳密さの程度の差はあるが,純粋数学以外の応用・工学系でも定義と公理からの演繹体系はやはり論文の必須の骨格なのである. 定義は図ではできない.論文の本文として記述してはじめて定義である. 図はその読者の理解を助けるものでなくてはならない. 本章ではこのような観点から,学術論文での本文以外の図をはじめとした構成要素の書き方についてまとめる. (to be written)
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