科学技術論文の書き方 表 紙 目 次 |
Introduction
本サイト: 「科学技術論文の書き方」では,世に論文といわれるものの書き方をまとめる. もちろん,研究内容そのものに言及することは不可能であるが, 論文には論文の書き方というものが,その目的からおのずと決まっている. ここでいう論文とは,自然科学の学術的技術文書であって, 決して文学作品ではない. また,これは本文著者個人の主観のみに支えられた基準であり, 日本全国の全ての研究者に認知された基準ではない. しかし,本文で述べることは,たまたま情報科学・情報工学を題材・例題とはしているが,自然科学系,少なくとも理工学の分野で普遍的なものであると著者は確信している. その意味を込めて本サイトの名称は「科学技術論文の」と形容している. これだけのことを公開されたWebで書くのであるから, 読者を納得させる為にはその裏付け・担保が必要であろう. 本文筆者のこれまでの学術上の業績はここである. さて,学術論文の書き方の要素として,(a)言語依存の要素,(b)言語非依存の要素, がある. 本編では,それら両方を扱っている. (a) の言語依存の対象はもちろん日本語である. (b) の言語非依存の部分は,英文論文の作成にも役立つであろう. しかしながら,日本人が書いた読みにくい英語論文でも(b)が主要因であることも決して少なくない. ただし,本文では,どれが(a)で,どれが(b)というラベルは付されていない. また,学部等の実験科目の実験レポート,講議科目のレポートなどは将来, 学術論文を書くための訓練という位置付けでもある. ここに書く科学技術論文の書き方に準拠して書けば質の高いレポートとなる(かも知れない)し,再提出の回数も減る(かも知れない). 学術論文と学術研究は表裏一体とでもいう深い関連性がある. 学術研究の一単位は, というフェーズを持つだろう. およそ研究者の義務は,その研究成果を世間に還元することであると筆者は信じている. 還元する方法は,プレゼンテーション, 特に論文であり,その公刊をもってその研究は終了する. いくら良い研究を実施しても,その還元がなされなくては意味がない. 例えば,100(%)の研究をして,25のプレゼンテーションでは,合計,25しか還元されない. 25の研究をして,100のプレゼンテーションをするのと効果は結果的に等価である. もう少し詳細にモデル化してみよう. ここで,研究成果の社会的インパクトというものを考え,0 ≤ α ≤ 1 で表すこととする. ある研究 x を実施し,それに基づいて論文 y を執筆, 論文誌 z に掲載したとしよう. α は x, y, z の関数であり,このときの α(x, y, z) を次式でモデル化する.
α(x, y, z) = f(x) g(y) h(z)
である. f(x) を限り無く 1 に近付けることは, 研究者本人と指導教官の研究能力次第であり,当然であると筆者は思っている. h(z) は,投稿する論文誌を選択する時に重要である. インパクトファクタ IF (impact factor: from ISI) (そのうちに書く)が重要な指針となり, 医学・生物学系ではかなり重要であるが分野によっては絶対的ではない. また,和文雑誌はIFの元となる Citation Index にはリストアップされていない. 投稿する論文誌の認知度は,高いに越したことはないが, 英文誌への投稿が絶対的でない分野も多く, また,速報性を重視した結果,IFの低い雑誌へ投稿した方が, 結果的な認知度が高くなる場合もあろう. もちろん IFは正の実数値であるので, IF をそのまま h(z) として使用することはできない.
すると残りは g(y) であるが,
ここがキーポイントである.
ここは著者自身の研究の能力以外で,最もボトルネックとなり得る要素であり,
また,(多少の) 努力次第で 1 に近付けることができる要素でもあろう.
この多少の努力のための指針を与えることが本サイトの目的である.
上式の右辺は,和ではなく積であり,いかにプレゼンテーションが大事であるかを認識して頂きたい.
間違えないで欲しいのは,25の研究で良い,と言っているのではない.
研究はできて当たり前である.
その研究成果の表現手段としての論文執筆能力・学会発表能力も研究能力のうちかも知れない.
しかしながら最近の学生諸君の (教員でさえも) プレゼンテーション,論文はあまりにひどいものがある. 幸か不幸か,筆者はプレゼンテーション(日本語・英語とも)に非常に厳しいボス (元N大学・C大学T先生)の下で鍛えられてきた(研究自体に厳しいのは全国的いや世界的に有名である). 本稿は,そのように,自分の研究成果を100% 表現することを目的として書かれている. 但し,本サイト自体は最低の作文であることは筆者自身,きちんと認識しているのでクレームは受け付けない. 以下,本サイトでは例文がいくつか登場するが,○は良い例,×は悪い例を示している. 学術論文を書くための鉄則本題に入る前に,論文を書く際に常に気にして欲しい最低限の心構え,すなわち学術論文を書くための鉄則を敢えてここで示しておく.
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